【人生が終わった】すべてが嫌でつまらないと思うようになった日

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人生なんてつまらない、 つまらない人生の毎日。

すべてが嫌で、周りのことを考えない自分勝手なサラリーマンをみると余計に生きているのが嫌な毎日。

 

こんなに人生がつまらなくなる前は、明日が楽しみで嫌な人すら目につかないくらい楽しい人生だった。

 

借金を抱えて滞納して、いろいろな催促がきても特にヤバイとか「終わった」と思うほどの焦りがないのはこの経験の方がよほど地獄のようなものだったからなのかもしれないーーいや、いま生きているこの人生こそが地獄のようなものなのかも知れない。

  

 

4月29日

 

一般的には「休みの日」、「昭和の日」と思われていることが多いだろう。

 

ただ、僕は違う。

 

「家族、そして親友だった彼を失った日でもあり僕の人生が終わりつまらない人生が始まった日でもある」

 

「彼」とは言ったけれど、人ではない。彼とは犬のことだ。

シーズーで食いしん坊でわがままで人懐っこい優しい性格だった。

 

彼はとても元気でなぜだか無敵だった。5キロくらい離れた場所から脱走して家に帰ると1人で先に家に帰っていたり、大量の砂糖、油、カカオの強いチョコなどを盗み食いしたり無茶苦茶な事ばかりして心配されられることが多かったーー単純に言えば、無茶な事をさせてしまえる環境にしていた僕ら家族の責任だ。

 

そんな無茶な事をしても元気でいる。「それは流石に無理でしょ..」と思うことでも挑戦して乗り越えてしまう姿を見ていたら「いつまでも一緒に暮らしていけるんじゃないかな?」なんて思ったりもしていた。

 

ただ、そういうわけでもなかった。中学3年生の時、父親が亡くなって半年くらい経った頃の話だ。

学校から帰ってきてゆっくりしていると母は僕に言った。

母「心臓の病気なんだって。」

 

そう、彼は心臓の病気らしい。

 

僕「治るの?」

 

母「治らないって」

 

その時は何も考えられなかった。

 

その後お風呂でシャワーを浴びながら泣いた。いろいろな事が頭の中を駆け巡って泣くしかなった。

 

心臓の病気のことに関して母に何か詳しい事を言われたのかもしれないけれど、覚えていない。

どのくらいの寿命でどのくらいの悪さなのか、何も聞いた覚えがない。それくらい頭の中が真っ白になってしまったのだろうーー完全に現実逃避したんだと思う。

 

それから、半年くらいは特に問題なく生活していたので安心しきっていた。

しかし、彼と遊んでいると息切れをしだすようになったり、むせるようになった。

ーーやっぱり病気なんだ...

 

とても悲しくなった。

いつ亡くなってもおかしくない。そんな状況でそんな毎日がとても嫌で怖かった。

 

ある時、夜中に苦しんで泣き叫ぶような彼の声がしたーー原因はわからない。呼吸が出来なくて苦しくなったりしたのだろうか..

 

その日から夜に寝ていると、その声が家の中で響きわたることが多くなった。

咳をすることも多かった。

 

何もできない、何もしてあげられない。

その挙句、「うるさい」そんな事を思ってしまう日もあった。

 

楽しい日々や幸せな日々、辛い日々など、どんな時間を過ごしていても時間が進む限り何かが変わりだす。

ーー本当に時間というものは残酷だ。

 

高校2年生の頃、4月28日に僕は学校をサボって家にいた。ーー単純に行くのがめんどくさかった。

母は遊びに行ったので、自宅で1日中彼と一緒にいた、いつもと変わらない毎日のようだったーー今思い返せば、彼にいつもの元気はなかった。

 

次の日、テニス部だった僕は団体戦の大会の為に練習試合があった。

だからその日は早く寝た。

 

彼と一緒に寝ようと思ったけれど、彼は隣の部屋にある自分の布団で寝たいらしくそっちに行ってしまったーーいつものことだ、いつも一緒に寝てくれない。寝る時は布団にいても起きるとどこかにいなくなっている。だから、いつものことだから気にしないで寝た。

 

目が覚めた。

頭の横で咳をする声が聞こえる。

ーー彼が横にいた。

 

ずっと咳をしている。

しかし、少し様子を見た後に僕は寝てしまった。

 

朝起きると彼はまだ横にいたーー同じ場所に。

 

ただ、様子が明らかに違った。

 

ものすごく体調が悪そうで弱っていた。

 

名前を呼んでもいつもより反応が鈍くて不安になった。

 

テニスを休もうと思った。

しかし、頭にの中に浮かんだーー休んだことで、何か裏で言われるんじゃないか。大会の出場メンバーに選ばれているのに、その前の練習試合を休んだことで何か言われたりするんじゃないかと。

 

そして、もしかしたらこのまま彼は亡くなってしまうのではないだろうか..

 

僕は悩んだ。

悩んだ挙句、出かけている母に電話した。

体調が悪そうなことを伝えたり、どのくらいで帰って来てくれるかを聞いた。

10分くらいで帰って来れるとの事だったので、急いで帰って来て病院に連れて行って欲しいと母に伝えた後、「母さんが帰ってくるから、そしたら病院に行けるから、もう少し頑張ってね!」そう彼に言って僕は家を出た。

 

僕はその時にやる事はやった。出来ることはすべてやった。

最悪の場合になっても、生きている彼は母に会えるだろう。彼が大好きな母に会えればそれでいい。そう思っていた。

 

テニスコートに着いて母から電話があった。

「これから病院に連れて行くから、だから、心配しないで!」

そう言われて安心した。

間に合ったんだ..良かった。

 

テニスが終わった帰りにスーパーに寄った。

元気になった彼といつものように何かを一緒に食べたいなと思ってーー一緒にと言っても「ちょうだい!ちょうだい!」って飛びついてくる彼にほんの少し分けてあげる程度なのだけれど。

 

家に後少しで着く頃、ふと思った。

もし、帰って彼が亡くなっていたら僕はどんなに反応をすればいいのだろう..

そんな風に思ってしまったりしたけれど、なんだかんだいろんなことがあっても元気で生きているんだから復活してくれているだろうし、病院も行ったんだから大丈夫だろう!

そう思って僕は家の玄関を開けた。

 

 

静かだった。

聞こえるはずのテレビの音もしなかったーー母が家にいるのに。

 

玄関から見える光景に目を疑った。

 

彼は自分の布団の上に横たわっていて、その彼を母が撫でていた。

 

僕は思わず「えっ?!...」

そう言ってしまった。

 

どっち?

あれだけ苦しかったんだから、病院に行って疲れて寝ているのを「よしよし」って母さんがしてあげているだけだよね?

それとも...

 

僕がその光景を見てから母が言葉を発するまでにどのくらいの時間が経ったのだろう。

実際は10秒も経っていないのかもしれないが、その時の僕にはとてつもなく長い時間にも感じた。

 

母が僕に言った。

 

「...ダメだった。」

 

すでに散々泣いた後のような声で僕にそう言ったーー8年経とうとしている今でも忘れられない言葉だ。

 

急に目から涙が溢れてきた。

どうしていいかわからなくなった。

理由もなく気が付けば玄関の前で座っていた。

 

少し落ち着いたので家の中に入ると、本当に彼は亡くなっていた。

 

自分のすべての行動に後悔した。

 

そもそも、自分が辛くて泣いている時に心配していつも側にいてくれたのに、朝辛そうな彼を僕は置いてテニスに言ってしまった。

いつも助けてくれた彼を裏切ってしまった。

いろいろな、思いが出てきて余計に泣いた。

泣き疲れたのか僕は寝てしまった。

 

寝て起きてもやっぱり彼はこの世から去った後のままだった。

 

その日から、彼のイビキすら聞こえない静かな夜になった。

 

それからというものの、彼が生き返る夢を見て現実と区別がつかなくなったり、泣いてしまう毎日だった。

 

数週間の心が空っぽだった。

 

そして、不思議な感覚だった。

いつもシャカシャカ歩く音が聞こえたり、イビキが聞こえたり、何か食べていると飛びついてくるのにそれすらもない、何もない生活。

家の中には彼が確かにいた痕跡ーー物を噛んだ後、壁を引っ掻いた後ーーがあるのに彼はいない。

 

半年くらい時間が経って、彼の使っていた毛布を出してショックを受けた。

毛布から動物の匂いがした。

彼の匂いではく、動物の匂いだったーー身体が彼を忘れてしまっていた。

 

知らない間に自分自身が、少しずつ彼のことを忘れてしまっていることを実感した。

 

「忘れたくない」

 

そう思って過ごしていたけれど、触った感触や声、歩く音はすぐに忘れてしまったーーあとは、写真や音声の無い動画が心の中に残っているだけだ。

 

「死んでも心の中で生きている」とか「虹の橋」などそういう綺麗なもので終わらせられない。

亡くなった現実は変わらず、ただ、後悔しかない。

 

シーズーは心臓病になりやすいことも知らなかった。

心臓病のことに対して調べもしなかった。

子供の頃からずっと一緒にいたのに、辛い時に一緒にいなかった、いない選択をしたーー最後の夜なんて咳や呼吸困難で、きっと眠ることすら出来なかったんだろう。

もっと早くに体調が悪いことに気がついてあげられることができていれば。

 

気が付かない、知らない。知ろうとしなかったことに今でも後悔している。

一生後悔するだろう。一生悩み続けるのだろう。

ただ、それでいいんだろう。

忘れてはいけないーーそれだけの事をしたのだから。

 

彼が亡くなったあの日、僕の人生は終わった。

その日からは、ただ寂しさを誤魔化して生きてきているだけの時間だ。

 

そして、これからも続くのだろう...彼のやりたかっただろうこと勝手に想像して、それを代わりにやって生きる人生が。

 

結局は自分勝手な自己満足なのかもしれない。

 

ただ、やっぱりこれだけははっきりと言える。

 

ーー僕の人生はあの日終わった。